六甲の不動産選び ハザードマップの拡大背景と「世界トップクラスの砂防技術」

神戸市灘区や御影の山麓エリア(六甲、高羽、鶴甲、篠原、土山町、御影山手など)で不動産仲介に携わっていると、最近買主様の物件選びの基準が大きく変わったことを実感します。


20年ほど前であれば、物件探しの主な条件としては「環境」「学校区」「価格」が中心で、ハザードマップを事前に細かく確認されるかたはごく一部でした。


しかし現在では問い合わせや内覧の段階で買主様ご自身で神戸市のwebハザードマップをチェックされているケースが圧倒的多数となっています。「この物件、土砂災害警戒区域に入ってますが考え直したほうがよいですか?」「近くの川は安全でしょうか?」こうした慎重で具体的なご相談を受ける機会が増えています。


なぜ今、土砂災害警戒区域(イエロー、レッドゾーン)の設定が広がっているのでしょうか?


「昔は警戒区域ではなかったのに、最近になって指定された」という物件も少なくありません。これにより「この土地の危険度が増したのでは?」と不安に思われるかたもいらっしゃいますが、実は主な理由は別にあります。


全国的に土砂災害警戒区域の指定が広がっている背景には行政による調査制度の向上と指定基準の見直しがあります。


かつては広域的な調査にとどまっていたものが、近年の調査技術の進化により、きわめて細かな地形の変化や傾斜まで把握できるようになりました。その結果、安全を最優先として「万一のリスクを住民に周知する」ために、指定エリアが細かく広く設定されるようになったのです。


「突然危険になった」のではなく「最新の技術でより正確にリスクを可視化できるようになった」ということです。


【指定拡大の背景と技術】


2014年の土砂災害防止法改正に伴い、都道府県に基礎調査結果の速やかな公表が義務付けられました。兵庫県でも高精度な地形データ(航空レーザー測量など)を活用し、樹木に覆われた山林でも「傾斜30度以上、高さ5メートル以上」といった指定基準に該当する斜面を機械的、網羅的に抽出しています。そのためリスクが突然高まったということではなく、安全を最優先とした予防的指定の網羅が進んだことが拡大の理由です。


 


そこで神戸市灘区の不動産を語るうえで欠かせないのが


「六甲山の砂防(さぼう)技術」です。


今では緑豊かな六甲山も、かつて明治時代までは木がほとんどない「ハゲ山」だったそうです。軟弱な花崗岩で崩れやすく災害が多発していました。その後本格的な植林、砂防事業が始まります。


昭和13年(1938年)の大規模な阪神大水害を契機に、六甲山系では80年以上にわたり、国(国土交通省六甲砂防事務所など)による砂防事業が進められてきました。


六甲山地に張り巡らされた「砂防堰堤(さぼうえんてい=砂防ダム)」や山腹工のネットワークは世界的に見てもトップクラスの技術と規模を誇ります。日本の砂防技術は外国語でもSABOとされているそうです。幾度もの豪雨災害を乗り越える中で技術が磨かれ、海外においても技術指導がなされ、巨大な流木を食い止める強靭なインフラが山の中に構築されているのです。


 


六甲山系では国土交通省六甲砂防事務所の管轄施設だけでも約560基前後の砂防えんていが整備されており、平成30年7月豪雨の際も砂防施設群が土砂、流木を食い止め市街地への被害を大幅に軽減したことが報告されています。個別の堰堤では数千立方メートル規模の土砂を受け止めた事例も確認されており、灘区内を流れる都賀川、高羽川、石屋川などの上流施設においても土砂の流失を食い止め、壊滅的な被害を防いだ実績があります。下記参照は砂防の詳しいことがわかります、ご興味ありましたらぜひご覧ください。


※参照リンク 国土交通省近畿地方整備局 六甲砂防事務所「砂防施設の整備」


六甲砂防事務所 事業概要資料(平成30年7月豪雨の効果事例を含む)


 


 


もし、条件にあった物件がハザードマップで【指定区域内】の場合「即あきらめる」前に


ハザードマップで黄色の着色を見ると「ここは危ないからやめておこう」と候補から外したくなるのはごく自然な心理です。しかし色がついている=即危険」とひとくくりに判断して諦めてしまうのはもったいないケースもあります。上流に頑丈な砂防ダムが完成しているのにハザードマップの指定は消えないからです。防災インフラによって実質的なリスクが軽減していても、ハザードマップは先述のとおり地形条件に基づいて機械的、安全側に倒して指定されています。それは地形そのものが変わらない限り行政上の予防的指定は残る仕組みになっているからなんです。


 


灘区の六甲山麓エリアには「豊かな緑」「神戸の街や海を見渡せる眺望」「閑静な住環境」という平野部にはない大きな魅力があります。リスクをゼロにすることは、どの地域でも不可能ですが「ハザード指定の理由」「施されている砂防技術、国の防護対策」を正しく知ることで過剰に恐れて理想の住まいをあきらめるのではなく、リスクの度合いを正しく把握したうえで納得して選択する。という判断ができるようになると思います。


不動産のエージェントとして、私たちは単に不動産を売買するだけでなく、こうした地域の特性、公的データの裏付け、重要事項説明におけるリスクの開示を含めて、お客様が心から安心して判断できるよう情報提供に努めてまいります。


灘区エリアでの物件探しや、ご自宅の売却、ハザードマップに関する疑問など、ぜひお気軽にご相談ください。


 


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