誰も犠牲にしない「オールウィン」の不動産取引を―数字に追われる働き方から、自分らしく誠実に向き合う働き方へ
数字と成果がすべてだった時代。家庭のことも後回しにして走り続けた18年。
私のキャリアは、石油会社の事務職から始まりました。バブル経済の影響もあり、「給与が高そうだな」というイメージに惹かれて入社したのがきっかけです。ただ、働くうちに「もっと稼ぎたい」という気持ちが強くなり、商品先物取引の世界へ飛び込みました。電話帳を片手にテレアポを繰り返す毎日でしたが、バブル崩壊とともに業界は縮小し、退職することになります。その後、就職氷河期の中で広告代理店へ転職。中古車情報誌の営業として、昼も夜も関係なく働き続けました。締め切り前には3日連続で徹夜するほど大変でしたが、忙しく動き回る日々は不思議と自分に合っていて、約10年間、とにかく夢中で走り続けました。
30歳を過ぎた頃、自宅近くの不動産会社へ転職しました。完全歩合制、いわゆる「青天井」の報酬体系に惹かれたのがきっかけです。配属されたのは、両隣に大手競合他社が並ぶ激戦区の店舗。そこで私は、誰よりも時間を使い、人が休んでいる時こそ動く勢いで、とにかく前へ進み続けました。当時の私は、まさに「数字がすべて」のタイプでした。目標達成のためなら妥協せず、部下や取引先からも「怖い」と思われるくらい尖っていたと思います。店長として18年間、ひたすら数字を追いかけ、店舗を回していく毎日。不動産業界で稼ぐには、それが当たり前だと思っていました。家庭のことを考える余裕はほとんどなく、子どもの運動会は朝に少し顔を出すだけ。授業参観にも一度も行ったことがありませんでした。家族との時間を削ってでも、仕事で結果を出すこと。それが当時の私にとって、自分の存在価値のようなものだったのです。
父の死で気づいた、本当に大切なもの。「ここだ」と直感した出会い
そんな私に大きな転機が訪れたのは、父ががんで亡くなった時でした。病床の父を前にして、私はそれまでの自分の生き方を深く考えるようになりました。「自分は何のために、ここまで家族を犠牲にして働いてきたんだろう」。仕事に打ち込む自分をどこか格好いいと思いながら、本当に大切なものを見失っていたことに気づいたのです。人生はもう折り返し地点に来ている。残りの人生をどう生きたいのかを考えた時、会社や数字に縛られず、自分の裁量で自由に働ける環境が必要だと感じました。 現状を変えたいと思っていた時、Facebookで偶然「REMAX」の広告を見かけました。エージェントモデルという新しい働き方に興味を持ち、いくつかのオフィスを紹介してもらった中で、「ここかもしれない」と感じたのが、今所属しているREMAX LIC.でした。オフィスを訪れ、エレベーターの扉が開いた瞬間、石塚オーナーの姿が目に入り、その瞬間「ここだ」と直感しました。
REMAXの仕組みを聞いて、いちばん驚いたのはその「空気感」でした。不動産業界によくある、胃が痛くなるような数字のプレッシャーがまったくなかったのです。売上を上げるのも、休むのも、働き方を決めるのも、すべて自分次第。会社から与えられた目標ではなく、自分の人生のために自分で考えて動く。そのスタイルは、まさに私が求めていたものでした。孤独な個人事業主として一人で頑張るのではなく、オフィスオーナーや仲間たちと喜びを分かち合える温かいコミュニティがあることも、加盟を決めた大きな理由でした。
「オールウィン」の考え方。目先の利益より、長く続く信用を大切にする
エージェントとして活動を始めるにあたり、私は一つだけ自分にルールを決めました。それは、「前職のお客様は絶対に引っ張らない」ということです。これまでの人間関係を使えば、すぐに売上をつくることはできたと思います。でも、それは自分の信念とは違うと感じました。だから、完全にお客様ゼロからのスタートでした。最初は収入への不安もありましたが、石塚オーナーからの提案で、自宅近くの学習塾の運営にも関わることになりました。未経験の教育業界で中学生を教えるために、学生時代のドリルを引っ張り出して勉強し直しました。不動産エージェントという軸を持ちながら、異業種にも挑戦でき、収入の柱を複数持てる。その自由さも、REMAXならではの魅力です。
今、私が不動産取引でいちばん大切にしている考え方があります。それが「オールウィン」です。サラリーマン時代は、会社の売上のために、時には誰かが犠牲になるような取引をせざるを得ない場面もありました。でも、今は違います。お客様も、紹介してくれた方も、そして私自身も、関わるすべての人が笑顔で取引を終えられること。誰か一人が損をするのではなく、みんなが納得できる関係をつくることを大切にしています。
そのために、私は「お客様に絶対に嘘をつかない」と決めています。ある時、お客様が気に入った物件へ内見に行ったところ、前の住人のたばこの臭いがかなり残っていることがありました。昔の私なら、気づかないふりをして契約を進めていたかもしれません。でも、その時ははっきり伝えました。「この部屋はやめたほうがいいです。住んだら必ずストレスになりますよ」と。目先の売上のために嘘をつけば、必ず後で後悔やわだかまりが残りますし、一つの嘘は次の嘘を生みます。たとえ目の前の500万円の利益を手放すことになっても、将来につながる1億円の「信用」を築くほうが、エージェントとして正しい選択だと信じています。

私のお客様は、主に知人や過去のお客様からのご紹介です。お客様ゼロから始めた私をご指名いただけるようになったのは、他の業者が面倒がって避けるような複雑な案件や遠方のエリアにも、フットワーク軽く足を運んできたからだと思います。他社で不誠実な対応を受け、不動産業界そのものに不信感を持っていたお客様が、私の評判を聞いて相談に来てくださることも増えました。そうしたお客様が安心して鍵を受け取り、心から「ありがとう」と言ってくださる瞬間に、この仕事をやっていて本当によかったと感じます。昔の私を知る人は皆、「嶋田さん、本当に丸くなりましたね」と驚きますが、それは私が心から納得できる仕事ができている証なのだと思います。
不動産業界で悩んでいる人たちの「受け皿」になりたい
現在はエージェントとしてだけでなく、マネージャーとして新人エージェントのサポートにも携わっています。新人エージェントが初めて契約を成し遂げ、鍵渡しまでを見届ける瞬間には、かつての部下管理とは異なる重みがあり、泣きそうになるほどの深い感動を覚えます。
これからの私の使命は、豊富な経験を次の世代に伝え、経験を活かせる人材を育てることです。従来の不動産業界の仕組みや古い慣習のせいで不利益を被っている、実力ある人たちをREMAXというプラットフォームで救い上げたいと考えています。自分がより快適に働けるモデルケースになることで、志ある不動産営業マンの受け皿になりたいです。
また、不動産業界の常識に染まっていない異業種からの参入者にも、大きな可能性を感じています。新しい視点こそが、業界の凝り固まった常識を変えていく力になるからです。これからも私は、絶対に嘘をつかない「オールウィン」の信念を大切にしながら、お客様の人生に誠実に寄り添い続けます。そして、自分の経験や失敗から学んだことを次の世代へ伝え、関わるすべての人がよかったと思える仕事をしていく。そんな不動産業界の新しい当たり前をつくっていきたいと、本気で思っています。

