IZUMAI通信 Vol.352
東京の都心主要オフィス市場で、賃料が上昇傾向にあります。
現在の賃料高騰の背景を見ていくと、以下の点が挙げられます。
(1) オフィス回帰・働き方の変化
コロナ禍でテレワークが進んだ反動として、企業がオフィス機能を再構築し、「都心立地で優れたスペックのオフィス」を求める動きが出ています。
「人材獲得競争」や「オフィス環境の刷新」が賃料上昇を後押ししているという指摘があります。 特に人材獲得には賃上げに加えて充実したオフィス環境が不可欠と考える経営者が増えていることも背景にあるようです。
(2) 供給のひっ迫/空室率の低下
新築供給が想定ほど出ておらず、既存物件も需要が高く空室消化が進んでいるため、空室率が下がって賃料が上がる構図です。
(3) 建築・維持コストの上昇
資材価格、人件費、設備・ITインフラへの投資が上がっており、ビルの建て替えやグレードアップを要する物件では、 コスト転嫁として賃料上昇の一因となっています。 既存ビルも維持管理にかかる人件費などがかさんでいることもあるようです。
(4) 投資マネーの流入・不動産市場の活況
オフィスビルが投資対象として再び脚光を浴びており、投資マネーの流入が賃料水準・物件価格を押し上げています。 米系大手投資ファンド、Blackstoneが、Tokyo Garden Terrace Kioicho(都心36階建てオフィス+ホテル複合)を、 日本のSeibu Holdingsから26 億ドル(約数千億円)で取得したという報道があります。
このような“超大型案件”は、都心のグレードオフィス(物流・商業ではなくオフィス用途)に対して世界的な投資家が参入している証左でもあります。 また投資家・株主が、上場企業に対して「保有不動産を売却・活用すべきだ」という圧力をかけており、 たとえElliott Managementが、Tokyo Gasの不動産資産に着目しているという報道もあります。
賃料の上昇トレンドは当面続く見通しですが、今後上昇幅は減速する可能性があります。
企業の働き方・オフィス需要が変化し続けており、「単に都心の面積を増やせば良い」時代ではないのかもしれません。



