強まる起業への想い「社長になりたい」そう思い始めたのは、中学生の頃。田舎のあまり裕福とはいえない家庭だったこともあり、広い家に住むことに憧れがありました。そのとき漠然と、「建築を通じて会社を創れば、そんな未来を手にできるかもしれない」そんな想いが生まれたんです。社会人一年目、まずは稼ぐために地元で営業の仕事を数年していました。仕事は順調でしたが、自分の求める仕事とは違い…。お金が少し貯まったところで、心の奥底にあった「建築への興味」を叶えるために心機一転、上京を決めました。東京では設計会社に入り「CAD」を使った仕事を任されることに。もちろん使ったことはなかったので、事前にいろいろ教えくれると聞き期待して入社したのですが、入ってみるとそんな環境はなく…(笑)。当時chatGPTなんて便利なものはないので、本屋に行くところから始めて独学で猛勉強。でも楽しかったです。最初はパソコンの電源の入れ方さえもわからないほどでしたが、好きなことは得意になるんですよね。気付いたら、数値を入れれば自動で図面が作成できるプログラムまで組めるようになっていました。入社して4年程経ち、この会社で自分のできることはやり切っていて、その先を望んでも会社員である自分には限界があることを感じ始めていました。同じことを繰り返す日々を変えたいと思っていた頃、人づてに思いがけないことを聞いたんです。数年前に父は亡くなっていたのですが、彼も生前「社長になりたかった」という夢を持っていたと。驚きと同時に、父の夢を引き継ぐように、自分の中に芽生えていた想いがさらに強まった気がしました。ただそうは言うものの、独立するにはまだ早いと感じていたので、まずは転職。建築をよりよく知るために構造計算の仕事を始めました。ここでも誰かから教わる環境はなく、難しい本をただ一冊渡されただけ。またゼロから学び始めましたが、覚えていく過程を愉しめるようになっていました。しばらくしてから業務の効率化を考え、前職のスキルを生かし10日かかる仕事を3日で終わらせられるシステムも構築。空いた時間を宅建の勉強にあて、宅建士資格を取得。ここである転機が訪れたんです。運命を動かす出会い兄が1人いるのですが、兄は不動産の仕事。関西で仕事仲間と独立するという連絡が入り、宅建も取得したのでサポートのため退職し関西に渡りました。その仲間の1人がのちにRE/MAX JAPAN CEOとなる佐久川氏だったんです。まさか十数年後、佐久川氏とビジネスをすることになるとは想像もしませんでした(笑)。兄の会社では賃貸物件の取り扱いもあり、リフォームの現場に立ち会うことが多かったのですが、手をかけることで不動産が変わっていく様子を目の当たりにし、感動。これだ!と思いましたね。兄のサポートは1年程で切り上げさせてもらい、東京に戻りリフォーム会社に入りました。リフォームの仕事は多岐に渡るので学ぶことが多く、勉強の毎日。また不動産業も営んでいる会社だったので、不動産仲介もここでたくさん経験しました。これまでと違いお客様と関わる時間も多く、お客様の嬉しい顔を間近で見られることは私にとって大きなやりがいに。もうこれは天職だって感じましたね(笑)。そして10年近く経ち、「もっと自分の力を試したい。自分の力を最大限お客様に還元したい」という気持ちが膨らんでいきました。営業から始め、設計会社で専門知識を学び、リフォームと不動産の世界で得た多くの経験や人の出会いは私の大きな糧となっていて、心にずっとあった「いつかは自分の会社を持つ」という私と父の想いの背中を押したんです。40歳で、独立を決意。リノワークス株式会社を立ち上げました。 開業――挑戦と手応えリノワークスでは、東京・八王子を拠点に居住用、事業用物件、外装も含めて、リフォームによって物件の価値を高め、入居率を改善する提案をしています。特に「もうどうしたら良いかわからない」といった案件は得意で、最後の駆け込み寺のように依頼をよく受けています。これまでお付き合いのあった方々からもたくさん仕事をいただき、開業初月から予想以上の売上に。順調な滑り出しに「挑戦して良かった」と心から思えた瞬間でした。ただ、さまざまな相談を受ける中で、開業当時は不動産業免許を取得していなかったため、入居者が入るところまでを想定して提案するものの、そのサポートまでは自分が入ることができず、お客様に最大限の力を出したくてもできない歯がゆさを感じていました。そんな中、関西で出会って以来お仕事の依頼をいただくなど、ご縁の続いていた佐久川氏がRE/MAX JAPAN CEOとなり、ある提案を受けたんです。東京の新しい加盟店オーナーが不動産実務未経験とのことで、サポート兼不動産エージェントとして参画しないかと。聞くと、不動産エージェントは自分の裁量で仕事ができ、ダブルワークも可能、所属先の宅建業免許ですぐに不動産ビジネスが始められるとのこと、画期的な仕組みに驚いたことを今でも覚えています。この仕組みなら自分の築きたかったスタイルが叶うのではと思い、不動産エージェントとして加盟を決めました。エージェントからオフィスオーナーへ加盟してからは、オーナーとパートナー関係でいろいろ取り組んでいましたが、ありがたいことにリフォーム事業が軌道に乗っていて、エージェント活動はあまりできずにいました。やりたいことはありつつも、時間を作ることができなかったんです。エージェントとして数年、所属オフィスも活気が出てきた頃、私もオフィスオーナーへの道を考えるようになりました。というのは、自分一人ではできないけれど、自分のオフィスを作り、エージェントを集めチームを作れば夢が叶うのではないかと。起業10年目の新たな挑戦として、オフィスオーナーへ。2025年4月、「RE/MAX TOMORROW」がオープンしました。RE/MAX TOMORROWでは2名体制でエージェントさんのフォローをしています。その相棒は実は幼少期からの幼馴染。彼とは、大事なときにはいつもお互い相談し合える関係で、いつか一緒にビジネスしようと話してきました。ここで彼と組んだのは彼の人を引き寄せる力と行動力が必要だったから。マーケティングや人材採用を得意とし、エージェントの皆さんが活躍できるよう積極的に新しい挑戦を仕掛けてくれています。一方、私は契約管理など、正確性や緻密さが求められる部分を担い、役割を明確に分担し互いを補い合うことで、オフィスを成長させてきました。現在所属エージェントは7名です。私たちがエージェントを集めるときに意識していることは、必ずエージェントの皆さんを稼がせるという想いを伝えること。それを裏付ける取り組みも日々考え動いています。その想いに応えるかのように、エージェントの皆さんも出勤義務がないにも関わらず、頻度高くオフィスに来てくれるので、エージェント同士のコミュニケーションも良く取れ、チームとして動く案件も増えてきました。私たちは、このオフィスをただの仕事場とは思っていません。私たちが最も大切にしているのは、エージェント一人ひとりが成長し、収益化できる環境を整えることです。気軽に相談できる雰囲気を意識的につくり、挑戦する人を後押しすることを何よりも大事にしています。明日を共につくるオフィスオープンから半年経ち、今後の目標として、不動産仲介と建築を組み合わせたワンストップサービスをエージェントの皆さんと創っていきたいと思っています。私たちが目指すのは、彼等がただ仲介を行うだけでなく、「付加価値のある提案」をできる人材になること。その一つが、空き家活用です。日本各地で深刻化する空き家問題。けれど、そこには可能性も眠っています。リフォームやリノベーションを通じて新たな価値を創造すれば、地域に貢献できると同時に、エージェント自身のビジネスチャンスにもなります。私自身が積み重ねてきたノウハウを、これからはエージェントの皆さんに惜しみなく共有し、共に未来を切り拓いていきたいと考えています。私たちのオフィスの屋号は「RE/MAX TOMORROW」。「明日が明るくなるように人が集まるオフィス」「明日を共に創るオフィス」でありたいという願いを込めて名付けました。これまでの自分の歩みを振り返ると、その先にある「明日」を信じて前に進み続けてきたように思います。だからこそ今度は、エージェントとして挑戦する仲間たちにとって、明日が楽しみになる場所をつくりたい。RE/MAXは、個人の力を最大限に引き出せる場所です。そして「RE/MAX TOMORROW」は、挑戦する人が希望を持って集まり、共に成長していける舞台です。仲間と共に創る新しい「明日」を、毎日楽しみにしています。