悔しさが生んだ志——起業の原点子どもの頃、なりたい夢ってなかったんです(笑)。だから大人になって、こんなにもやりたいことができて、夢を追える自分になっているとは想像もしていませんでした。学生時代は、中学から大学まで極真空手の道場に通い続け、厳しい礼節や上下関係を叩き込まれました。いま思えば、その経験が「覚悟をもって物事に向き合う姿勢」を私の中に根づかせたのだと思います。また校内では学園祭実行委員を務め、仲間とともに一つの企画を形にしていくことの楽しさ、そして一体感の中で成果を出す喜びを知りました。「チームで何かをつくる」という感覚は、いまのRE/MAXオフィス運営にもつながっています。社会に出て最初の転機は、大学時代のアルバイト経験でした。大型商業施設の店舗で働いていたとき、初めて“デベロッパー”という存在を知ったんです。施設担当者として現れた彼らの仕事ぶりを間近で見て、「この人たちが商業施設をつくっているのか」と興味を持ったのですが、同時に、その担当者の姿勢に落胆したのを今でも覚えています。やる気がなく、情熱も見えない…。「こんな人間には負けない。自分ならもっと良い施設をつくれる」――学生ながらにその悔しさにも似た感情が、商業デベロッパーを志すきっかけになりました。新卒で入社した会社ではファッションビルのテナントリーシングを担当し、日々の交渉や運営を通して、明るく華やかな世界の裏にある地道な努力や戦略の大切さを実感。スキルアップのために転職した商業デベロッパーでは、全国の商業施設のリニューアルや新規開業に携わり、多くの人と協力しながら施設をつくっていく面白さを体感しました。その後、不動産運用会社で、商業施設・商業ビルを主とした上場REITのアセットマネジメントを担当し、投資の視点からも不動産を見る経験を積み、新卒から14年間、商業用不動産を多方面から従事することで徹底的に学んでいったんです。同時に、組織の枠の中ではできることや収入に限界があることも感じていました。このまま会社員として40代を迎えるよりも、起業するなら早い方がいい、失敗するにしても早い方がいいと考え、36歳で起業。事業に多角的に関わってきたことで、自身の得手不得手も理解し、自分はやはり商業不動産のリーシングとプランニングが得意だったので、その領域で勝負していくことに決めました。“結果で応える”覚悟——信頼が信頼を呼ぶ連鎖の始まり起業を報告したとき、周囲の反応は意外なほど温かいものでした。前職の上司や先輩、そしてクライアントが「独立したならぜひ手伝ってほしい」「また一緒に仕事をしよう」と声をかけてくれたんです。会社員時代、誰もやりたがらない案件や、新業態やスタートアップ事業者の受け入れなどに積極的に取り組んでいました。きっとそこでの成果が独立して間もない中でも仕事を任せてもらえることに繋がったんだと思います。私を信じて仕事を託してくれた人たちの期待に応えるために、がむしゃらに走り抜けた一年。おかげで、独立初年度から安定したスタートを切ることができ、大きな励みになりました。独立直後に飛び込みで提案したお客様も、忘れられない存在です。当時の私はまだ法人としての信用も実績も全くない段階でしたが、そのお客様は信頼を寄せてくださり私の提案を全面的に受け入れてくださった。かなり大胆な企画ではありましたが、結果としてその企業は急拡大し、業界でも話題となるまでに大きく成長。クライアントと喜びを分かち合えたその瞬間、「起業してよかった」と心から思いました。これら経験を通して、私は“信頼の連鎖”という言葉を意識するようになったんです。覚悟を持って誠実に仕事をすれば、必ず誰かが見ていてくれる。そして、その信頼が次の挑戦への道を照らしてくれる。それが、私の中で確信となりました。もちろん、すべてが順調だったわけではありません。起業してすぐに痛感したのは、「結果を出さなければ存在価値がない」という現実でした。圧倒的なスピードと精度で結果を出すこと、それがすべて。さらに経理・資金調達・採用・販促・法務・IT――会社員時代には見えていなかった全方位の仕事に対応する必要があり、最初は苦労の連続でした。それでも、自分で舵を取る自由と責任があることが、なによりのやりがいでした。「正しく・誠実に」貫いてきた先に辿り着いた理想の仕組み私の仕事の軸は常に「正しく・適切に・責任を持って」取引すること。商業施設のリーシング分野は専門性が高いが故に、粗悪なコンサル業者や無免許ブローカーも少なくありません。だからこそ、誠実に、クライアントの利益を最優先に考え提案をすることを大切にしてきました。目先の利益より、長期的な信頼。その積み重ねが、やがて自分自身の価値をつくり、業界の中で信頼される会社になると信じています。「出店をきっかけに見える景色が変わった」「1人部署が20人に増えた」「出店をきっかけに大手からのオファーが増えた」クライアントの喜ぶ姿と成長を間近で見られるのは何よりの報酬で、それらすべてが、仕事の原動力になりました。そして、その喜びを共に味わえる仲間を増やしたい——そう考えたとき、RE/MAXという仕組みが自然と視界に入ってきたんです。不動産仲介事業を始めた頃、SNSで偶然RE/MAXの存在を知りました。私は一人で会社を運営する中で、売上拡大に伴い“どうやってスケールさせていくべきか”という課題に直面していました。RE/MAXの仕組みを知ったとき、「これだ」と直感しましたね。個人の力を尊重しながら、チームとして支え合う。その柔軟で誠実なモデルは、まさに自分が理想としていた働き方そのものでした。RE/MAXは、年齢や経歴を問わず挑戦できる場所。そして、挑戦する人を全力で支える文化があります。自分の理想を描きながらも、孤独に戦ってきた私にとって、RE/MAXはまさに“共に歩む仲間”と出会えた感覚でした。加盟するまでに時間はかからず、2025年7月、『RE/MAX COMPASS』をスタートさせました。共に歩む仲間と出会えた場所——RE/MAXが拓いた新しい挑戦オフィスネームである「COMPASS」には羅針盤という意味があり、お客さま、エージェントの皆さんにとって、正しい方向を指し示す道標となる存在でありたい、そんな想いを込めています。エージェント一人ひとりの夢を大切にし、「このオフィスにいてよかった」と心から思える環境を整える。経験の浅いエージェントには必ず伴走し、正しい取引と信頼関係の築き方を共に学ぶ。その積み重ねが、やがて彼らの自信と実績を育てていくと信じています。採用においても、私は“押しつけないリクルーティング”を大切にしています。RE/MAXという仕組みが本当にその人の未来に必要かどうかを、まず一緒に考える。「この場所でなら挑戦できる」「この仲間たちとなら成長できる」——そう感じてくれた人たちと、一緒に未来をつくっていきたいです。RE/MAXグループの中では若いオーナーとして私自身挑戦の途中にいますが、専門性を磨き誠実な経営で信頼されるオフィスを築いていき、RE/MAX全体にも良い影響を与えられる存在になりたいです。現在は、強みである商業施設や店舗不動産に特化した仲介事業を中心に展開していますが、将来的には、エージェントの皆さんの力も借りながら事業用不動産の売買や海外案件、他のアセットタイプへのチャレンジなど、RE/MAXのグローバルネットワークも活かして、新しい価値を世界に発信していきたいと思っています。方位磁針の針が常に北を示すように、私たちは「誠実さ」という軸を見失わずに進んでいく。クライアントにも、仲間にも、社会にも——正しく、まっすぐに向き合いながら、チームで信頼の輪を広げていく。RE/MAX COMPASSに関わるすべての人に“豊かになってほしい”と思っています。これが、今の私の夢でありRE/MAX COMPASSの目指す未来です。