子どもながらに実家の家業を世界規模にしたいと思っていたんです。なので、学生のころは英語の勉学に励み、卒業後は日本企業のアメリカの現地法人へ。22歳から24歳までの2年間をアメリカで生活しました。振り返ってみるとこのアメリカ生活が忘れられず、それからの私の人生の決断に欠かせない条件のひとつになっていましたね。帰国後は家業の職人として2年間修業したのですが、肌に合わず断念。話し合いの結果、家業は継がず、長男にもかかわらず独立することに……。最初は今でいうフリーランスで、学生時代に看板屋でアルバイトをした経験から工事現場の建築看板をメインに請け負う「コイケデザインスタジオ」をスタートさせました。その後グラフィックデザイナーの友人も参戦し、マンションの建設ラッシュに伴い派生した仕事の依頼が増え3年後には法人化。さらに、取引先からご自宅の建築の依頼が入るようになり、本格化させるため、すぐに建築士の資格を取得し、設計と建築事業部を別法人で設立しました。競合の多い建築業界に挑むためには、何か新しいことが必要だと考え思案の末、機能、性能に優れている輸入住宅を建てる工務店に特化させたんです。しかも再渡米を狙っていた私にとっては一石二鳥!笑。建材の仕入れのために毎月アメリカに行く生活は楽しかったですね。当時はインターネットもなく、仕入れは現地に赴きすべて自分の目で見て決めました。自分が良いと思うものを売るのでお客様にもそれが伝わり購入希望は後を絶たず、また、輸入住宅という物珍しさもあって、売上は早期に3億円を超えました。その後、子ども英会話教室のM&Aから始まった外国人教師派遣事業も、当時の民間会社では珍しいということもあって軌道に乗り、数億の売り上げに。この時点で、グラフィックデザイン、設計・建築、外国人講師派遣事業と3足の草鞋を履きTVCMまでするほど事業の規模は大きくなっていました。しかし、これまですぐ行動に移すことで功を奏してきたことも、空回りしていきます。輸入住宅建築の請け負いは勢いに乗るあまり、需要に供給が追い付かず、また入出金のタイムラグも管理しきれず、大きな借金を抱えることになりました。経営計画もないまま突き進んでしまった結果、会社を手放すという大きな失敗となったのです。また、毎日2時間、寝に帰るだけの生活もたたり、40歳で一過性脳梗塞になり入院……。働き方を改めて考えなければと思いました。仕事ばかりの生活は良くないと実感し、経営塾で経営学をイチから勉強。そこから会社の経営理念をつくり、長期経営計画を策定し、会社の事業目的を常に念頭に経営するように努めたんです。経営理念は『感動のはじまり』にしました。というのは、以前、英会話の体験教室で幼稚園のお子さんが、「僕、マイケルと英語でお話しできたの!」とキラキラした瞳でとても嬉しそうに話していて…。私はそのとき「この子の未来に起こりうる‘感動の始まり’を提供できたんだ」と感じ、そこからひとりでも多くの方に『感動のはじまり』を提供したいと、この想いを大事にしながら仕事をしてきたので、それを経営理念にしたんです。事業計画や経営理念のもと、会社も落ち着き、また新たな取り組みを開始しました。以前建築でご縁のあったお客様から、相続の話でご相談をいただくようになったんです。その件数が多くなり、これはきちんとした窓口が必要だと考え2012年、「iCAN 全国相続鑑定協会」を創設。運営を始めると、ご相談の先に不動産の取引も多く発生し、相続と不動産の切っても切れない強いつながりを感じましたね。RE/MAXに参画しようと思ったのは、不動産との関係性が深いこの「iCAN」とRE/MAXエージェントとのコラボレーションの未来予想図が見えたから。RE/MAX本部がアメリカということもあり、もちろん再渡米も狙っています(笑)iCANでは相続鑑定士と相続エージェントが協働して、相続の相談を入口に、相続不動産の診断、活用の提案をしています。「負動産」を「富動産」に変えるように相続鑑定書を作成するんです。RE/MAXエージェントもiCANで研修を受け、相続エージェントとして相続鑑定士とタッグを組み、その出口として不動産仲介に結びつける、というコラボレーションが可能です。知識をより増やし、お仕事の幅を広げて充実したエージェントライフを送ってほしいですね。逆に、相続鑑定士さんがRE/MAXのエージェントになることで、ダブルワークとして不動産仲介ができるようになります。不動産業務のサポートはRE/MAX Home Agentがしっかり行いますよ。「相続を制するものは不動産を制す」と思っています。この表裏一体の関係性を存分に生かしてもらいたいです。ご相談者様もワンストップで相続と不動産の相談ができたら安心ですしね。RE/MAX Home Agentsでの私の役目は、エージェントの採用と教育、そしてMy Homeのように安心できる場所の提供です。RE/MAXに参画したことで相続、不動産の相談を通して新たな「感動のはじまり」を創造することができました。たとえば、ご相談者様の不安を取り除くことで生まれる「感動のはじまり」、相続エージェント、不動産エージェントがおのおの新たな分野で活躍する「感動のはじまり」、新たな喜びをみつけた私自身の「感動のはじまり」。この「感動のはじまり」の輪をRE/MAXを通して日本全国に広げていきたいと思っています。