予期せぬ経験が価値観を形成する礎に小学生の頃、タイムカプセルに、「将来は社長になる」と書き込みました。当時父がサラリーマンを辞め、自らの事業を立ち上げたのですが、その瞬間、家の空気がガラリと変わったのを覚えています。毎日の表情、家族の会話、使うお金。生活というものが、こんなにも「働き方」で変わるのか……と幼いながらに衝撃を受けました。ただ父が見せた背中は、不安や大変さだけではなく、どこか誇らしげで、自由で、力強かったことも覚えています。そんな父の姿を見て、――いつか、自分も社長になりたい――胸の奥底に小さな想いが芽生えました。大学では法学部に進み、司法試験の勉強もしていたのですが、法律を学ぶほどに矛盾や時代とのズレも感じ、むしろ「新しい法律をつくる側」に興味を持ち始めました。学内で「立法」の勉強会のグループを作り、友人の繋がりで政治家の方々からも学ぶ日々。そのご縁でお世話になっていた政治家の方のもとで手伝いも始めることになり、社会の課題や地域の声を聞く機会が多くありました。卒業後は「経営者として独立する」というビジョンのもと、起業のために必要な経験を積める場所と考え“銀行”に入行。お金の流れ、企業の構造、経済の仕組み――銀行は経営者になるために必要な材料が詰まった場所でした。しかし、人生は思い通りには進まないものですね。銀行で働き始めて間もなく、ヘルニアを持っていた父の病状が悪化しました。立ち上がることもできなくなり家族としてできることを考えた末、私は退職を決断。銀行には1年もいることができませんでした。父の病状はどの病院に行っても良い兆しが見えなかったので、学生時代にお世話になった政治家の方に良い病院がないか相談することに。そしてその病院で治療を開始したのですが、なんと父の体調はみるみる回復していったんです。父が元気になったことで、父の会社を手伝う必要もなくなり、無職の自分はさてどうしようかと(笑)。そんなときに、恩人の政治家から「秘書」として手伝ってほしいと誘いがあり、政治の現場に飛び込むことになりました。秘書の仕事は、想像以上に“人”と向き合う仕事でしたね。地域の課題に耳を傾け、法律の隙間で苦しんでいる人々に触れ、行政や政治の仕組みを間近で見つめる――そこでの経験は、私の価値観を形づくる大きな礎となり、後の私の仕事観にも大きく影響を与えるものになりました。不動産との出会い。直面した「相続」の課題と、20年の研鑽秘書となって数年経ったある日、人生を再び大きく動かす転機が…。結婚したお相手の家族から「不動産事業の手伝いをしてほしい」という話があり、遊休地の活用として、高齢者施設建設のプロジェクトに関わることになったんです。私は初めて不動産の世界を体験。結果的には予算や地域状況の問題でプロジェクトは頓挫しましたが、その過程で私は「不動産」という世界の奥深さに初めて触れました。26歳で宅建を取得し、本格的に不動産業界に携わるようになると、お客様の人生の転機に寄り添うという責任の重さと意義を同時に味わいました。特に「相続」については、遺族が慌ただしく判断を迫られ、本来よりも悪い条件で不動産を手放すケースを何度も目にしました。もっと前に相談してもらえていれば、もっと良い未来をつくれたのに――その悔しさが積み重なり、「ならば、その手前で力になれる存在になろう」と。“相続前コンサルティング”の重要性に強く気づかされたんです。そして不動産業に身を置いて20年、私はずっと胸に抱いてきた独立を決意。「もっとお客様一人ひとりに深く向き合い、人生に寄り添う不動産コンサルティングを、自分の信じる形で行いたい」その信念のもと、開業しました。開業当初は、時にお客様の長時間の相談にじっくり向き合い、時にポスティングで地道に地域を歩く日々。華やかさとは程遠く、すべてが自分の責任で、自分の力で切り開くしかありませんでしたが、それでもひとつひとつのご縁が私を育ててくれました。お客様の「あなたに相談してよかった」――その言葉が、どんな大きな取引よりも心に響きましたね。独立したからこそ、言葉の重み、人とのつながりの価値が身に染みたのだと思います。私の仕事の軸は「相続対策」と「不動産コンサルティング」です。「問題が起こる前に環境を整える」ことは、お客様の未来を守る最も有効な手段であり、私が社会に提供できる最も価値あるサービスだと考えています。実は20年前、仲間たちと「無料で地域の不動産相談を受ける場をつくろう」とNPO法人湘南不動産コンサルティング協会立ち上げているのですが、設立以来、年に5回、不動産コンサルティングマスターを中心に、税理士や司法書士、弁護士など多くの専門家を集め無料相談会を実施してきました。当時は無料で相談できる場所などはなかったので、本当に多くの方々から相談を受けましたね。地域貢献として続けてきた活動は、私の原点であり、大切なライフワークとなっています。一人の限界と、RE/MAXという選択開業してから順調に運営していた事業もコロナ禍で大きなダメージを受けました。外出自粛により相談案件が激減し、事務所の維持さえ危うくなる状況。運転資金を借り入れ、不安と向き合いながら毎日を過ごしていました。そんな中、旧知の仲であったRE/MAX Kanagawa Shizuokaの後藤オーナーがRE/MAX の話をしてくたのですが、正直、当時は検討する余裕はなく…。しかしコロナが明け、事業の活気も戻ってきた頃、再び後藤オーナーと話す機会があり、たまたま居合わせたトップエージェントの方々からも話を聞くことができました。実際活躍する方の話は説得力があり、また何よりも楽しんでおられて「不動産業界の新しい働き方」へ魅力を感じたのを覚えています。私は独立してからずっと、一人で営業し、一人で問題を解決し、一人で責任を負ってきました。楽しくもありましたが、孤独で苦しい瞬間もありました。しかしRE/MAXには、「志ある仲間と働き、成長し合える文化」がある。そして何より「三方よしを実現する仕組み」がある。コロナ禍で一人でいることの危うさと、できることの限界を痛感していたので、私はこのビジネスモデルに心から共感し、加盟することに。2024年3月、「RE/MAX All Stars」を藤沢でオープンしました。とはいえ、加盟後すぐに順風満帆というわけではなく…。エージェントさん達へのサポートの仕方、モチベーションの維持、進捗の把握、オフィスとしての運営方法等々、課題はいくつも見えてきました。けれど、それ以上に、「自分ひとりで歩んできた道に、仲間が増える。」「誰かの人生の転機に伴走できる人が、この場所から育っていく。」その未来を思うと、自然と頑張ろうと気持ちも高まっていったんです。それにRE/MAX には頼れる先輩オーナーの皆さんがいるので、相談しながら前に進んでいけるのも、ありがたいですね。自分らしく輝ける場所へ私は、エージェントの“師”ではなく、頼れる“伴走者”でありたいと思っています。ただ答えを与えるのではなく、エージェント自身が考え、成長できるよう導く。問題解決の“答え”を提示するのではなく“道筋”を一緒に見つける。――その関係こそが、お互いを成長させると信じています。だからこそエージェントの方々には、単に「稼ぎたい」だけではなく、知識を吸収し、学んだことを誰かのために使いたいと思える人でいてほしいです。人の悩みに寄り添い、解決の道を一緒に探せる人です。特に「相続」について学びを深めたい方へは、これまでの私の経験を惜しみなく共有していきたいですね。不動産の実務経験はなくとも、一歩踏み出す勇気さえあれば、全力で応援したいと思っています。RE/MAX All Starsは、一人ひとりが輝く場所になるよう名付けました。人生に寄り添うプロフェッショナルが集まる場所。挑戦する人の背中を押す場所。そして、自分らしい人生を描ける場所です。エージェント皆さんの挑戦を、心から歓迎します。