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〔コラム〕~ハザードマップ~未来はわかるが過去はわからない?【前編】

今月3日から日本列島は猛烈な大雨に襲われています。
今年は例年より3週間ほど早く6月中に梅雨が明けましたが(東北北部を除く)、体感では梅雨が明けてからの方が雨が多いような気がします。

この雨による被害は局地的なものではなく、国土交通省の発表によると8月5日16時までに、なんと9県にまたがり52の河川で氾濫が起きています。9県の内訳は青森県、秋田県、山形県、福島県、新潟県、石川県、岐阜県、福井県、滋賀県。東北地方全域から近畿地方に至るまでの広範囲な被害です。近畿地方に住む人は、滋賀県長浜市の河川氾濫の映像が印象に残っているのではないでしょうか。

河川氾濫や水害は毎年日本各地で起きています。
家屋の流失や死者行方不明者が発生するような災害も多くあります。ただ、人の記憶は曖昧なもので自分自身や知人友人などが直接被害に遭ったもの以外は、どうしても近年に起きた被害規模が大きいものが印象に残ります。平成26年の広島市の土砂災害、平成30年の西日本豪雨による岡山県倉敷市真備町の水害、令和2年の熊本県人吉市の球磨川氾濫。これらの災害はニュースで衝撃的な映像が繰り返し何度も流されていたので覚えている方は多いと思います。

一方、さまざまな場所で起きた過去の災害は、その多くが残念ながら忘れ去られていきます。
どこか遠くで起きた災害だけではありません。その地で起きた災害であっても、数十年も経つと記録では残っていても記憶には残っていないことも珍しくありません。小規模災害はもちろん、大規模災害であってもです。

筆者は京都に住んでいます。京都でも多くの水害が発生しています。2012年には宇治市で死者の出る豪雨、2013年には嵐山で渡月橋が損壊するほどの豪雨、2014年には福知山で市街地が冠水、とこれはネットで過去のニュース記事を見て書いており実際の記憶ではあったことは覚えていますがいつあったかは記憶していません。地元の記憶ですらこうなので、ましてや地元以外の災害はなかなか記憶に留まりにくいものです。

本メルマガの主題はあくまで不動産なので、ここでは「記憶を風化させてはいけない」といった趣旨の話は書くつもりはありません。気になるのは災害の記憶が風化し、災害に対して安全な場所とそうでない場所も忘れられていくということ。古くから住宅が建ち並ぶ旧市街地であれば、長くそこに住まい過去の災害を覚えている人も多いので、近所にヒアリングすれば簡単にわかりますが、マンションの多いエリアや人の入れ替わりが激しいエリアでは過去の災害を「みんな知らない」なんてこともあります。

そこで大切なのは過去の履歴を見ること。まずはハザードマップを確認する人が多いでしょう。大阪であれば淀川や大和川、京都であれば鴨川や桂川が氾濫した場合の浸水の深さ等が図示されています。ハザードマップを見るだけで「どのエリアが安全そう」「どのエリアがヤバそう」なのかがわかります。2020年8月から重要事項説明書で水害ハザードマップの説明が義務付けられており、その存在も広く知られることになりました。

ですが、ハザードマップは過去の災害を記載したものではありません。国土地理院のサイトにはこう書かれています。

“「ハザードマップ」とは、一般的に「自然災害による被害の軽減や防災対策に使用する目的で、被災想定区域や避難場所・避難経路などの防災関係施設の位置などを表示した地図」とされています。” (国土地理院WEBサイトより)

と言うわけで「川が氾濫したら浸水するであろう地域」はわかっても、「過去に浸水した場所がわかる」訳ではありません。しかしながら、実際に水害にあった場所、調べればある程度はわかります。

後編では大阪市と東京都を例に簡単に説明してみたいと思います。

(参考リンク)
災害に強い都道府県ランキング!日本で自然災害の少ない安全な県は?(住宅検索ハザードマップ)
https://address-hazardmap.com/todouhuken-saigai/
8月3日からの大雨による被害状況等について(第5報)(国土交通省)
https://www.mlit.go.jp/common/001494646.pdf

最後までお読みいただきまして、ありがとうございます。

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