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〔コラム〕~少子高齢社会への移行とエージェントがすべきこと【後編】

前編では、廃校となった小学校を利用した神戸市内の施設の話から、地方や郊外だけで無く都心部でも少子化や人口減が進んでいる話をしました。
少子高齢化による危機は以前から話題となっていました。また人口減についても東京や大阪の都心部の人にとっては「それは地方・郊外の話」と考えられていました。潮目が変わったのは、2014年に日本創生会議が発表した「消滅可能性都市」に東京都豊島区が含まれていたことだと記憶します。「街がなくなる」などという事象は人里離れた山間部や離島、とたかを括ってしまっていたことがまさかの東京都で「消滅」する街が現れたのは大変ショッキングな出来事でした。

今後日本の人口は減少していきます。
それはそれで問題ですが、人口減少よりも先に現れるのが少子高齢社会です。
雑な言い方で恐縮ですが、生まれる人よりも亡くなる人の方が増えるから人口が減少します。その過程で子供と高齢者の比較でどんどん高齢者の比率が高まっていく。
それが少子高齢社会。

この少子高齢社会への移行は不動産業界にとってビジネスチャンスです。

人口減の街は危機感を感じていますが、人口が維持されている街はそれほど危機感がありません。しかしそんな街でも人口構成比はどんどん変化しており少子高齢化は進んでいます。人口が減ると空き家が増えるのは当たり前ですが、少子高齢が進むことでも空き家は増えます。ミスマッチが起きるからです。

夫婦+子供二人の子育て四人家族。かつて住宅購入層の主流だった家族形態です。
今、このような世帯が減っています。郊外ニュータウンのようなサラリーマンの父親と専業主婦の母親を想定したような街の不動産は需要が減って当然です。また、若年層が減っていることで学生寮や単身寮の需要が減っています。
しかし単身世帯が減っているかといえばそうではなく高齢者の単身世帯は増えています。

このミスマッチがビジネスチャンスとなっています。

新築供給においては、すでにそのチャンスは顕在化しています。
建物と住人のミスマッチを埋めるべく、新しく住宅が供給されていきます。

上記の例で言えば、かつてニュータウンでマイホームを購入した世帯に向け都心コンパクトマンションが、さらに高齢となり生活に他人の支えが必要となり始めた人のためにサービス付高齢者向け住宅が建設されます。

不動産エージェントのチャンスは、この後です。
新しい住宅が供給されれば人口が維持できている街においても、既存住宅の空き家は増えていきます。この空き家を利活用、具体的にいえばリフォーム、リノベーション、コンバージョン(用途変更)を伴う売買や賃貸する市場は、既に大きくなっていますが、今後さらに大きくなることは確実です。

例えばわかりやすいのは中古分譲マンション市場。
バブル期だった30年前、築30年(すなわち現在築60年)のマンションは全国にほとんど存在しませんでした。それが今、築30年を超えるマンションは山のようにあります。

これらのストックの多くは設備が老朽化・陳腐化しています。それを刷新するべく買取再販事業を行う大手事業者は多くあり、一大マーケットとなっています。

しかしミスマッチを解消すべき建物はまだまだ多く、中古分譲マンション市場はそのほんの一部。一戸建てやアパート、オフィス兼用の自社ビル等々、そのままでは利用が見込めないが工夫することで需要を見出せる「ミスマッチ不動産」は市場にいくらでも溢れています。
人口減により生じた空き家は、需要が減少しているため解決は難しい。よそのエリアから集客する必要があるからです。それに比べ少子高齢化で派生した空き家はミスマッチを解決すれば解決が見えます。

そのような「ミスマッチ不動産」に、オーナーと一緒になって考え、新しい命を吹き込む業務。これは「パッケージ物」として売り出される商品ではなく大手不動産会社には難しい。個別にエージェントが取り組むのに適した分野です。

廃校となった小学校校舎をリノベーションし地域の交流施設とするそこまで大きな案件でなくとも町の小さなビルや住宅のミスマッチを解消し需要を作り出す、そんな施設を手がけるエージェントが増えることを願っています。

最後までお読みいただきまして、ありがとうございます。

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