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〔コラム〕 ~正直であること、誠実であること~「正直不動産」に学ぶこと【後編】

ちまたで、少なくとも業界内で、大きな話題となっている「正直不動産」。
ディテールの細かい部分を実務家の視点で見ての話をしだせばツッコミどころも多くあります。
しかし、それはどのようなジャンルのドラマでも同じこと。正確さにこだわりすぎると面白みが減ってしまいます。多少のデフォルメや脚色は問題ありません。むしろ「ドラマではあのような表現になっているけれど現場ではこうであると不動産業を知るものにとっては知識を発揮できる機会ができたと捉えています。
また、全国津々浦々に影響力のあるNHKでこのようなドラマが放送され不動産業のあり方に一石を投じてくれているのは業界にとってプラスだと考えています。

ところでこの正直不動産で描かれている「正直ではない不動産屋」、他業者の邪魔をしたり伝えるべき事実を隠蔽したりしています。実務経験者としては幸いなことに、そのような悪質不動産業者にはあまり遭遇したことはありません。正確に言えばエンドユーザー(自ら居住するお客様)相手に平然と事実を隠蔽する事業者は少ない。

筆者が不動産業界で働き始めた頃には、それなりに存在していました。
しかし現在はポジティブに言えば業界レベルが上がったため、ネガティブに言えば世間で求められるコンプライアンスのレベルが上がり顧客を騙して商売することが割に合わなくなってきたため、そのような悪徳業者は減っています。

しかし、エンドユーザー向けの売買以外の分野では色々と悪い話も多くあります。

お年寄りを相手にアパート建設を持ちかける、相場より不当に安い価格で物件を買い取る。過去に購入し未利用で放置されているリゾート物件を「高値で販売する」と持ちかけて着手金等を請求する。などなど。いろいろなバリエーションの「トラブル案件」は多くあります。

ただ、例に挙げたアパート建設、物件買取、リゾート物件販売、それぞれお客様を騙しているかというと、そうとはいえないケースの方が多い。どの不動産業者も「言わなければならないこと」は伝えるものの、それ以外の「余計なこと」は言わないと言ったケースが多い。

不動産業者側の理屈で言えば「「言わなくても罰せられないことを言っても得はない」、言い方を変えれば「“余計なこと”を言わなかった別の事業者に案件を持っていかれるから」です。
これは以前に書いたことのある「一括査定サイト」と同じ理屈です。

一括査定サイトは不動産事業者の側から見ると「正直者が馬鹿を見る」の側面があります。
お客様に誠実に「相場価格」「正しい価格」を提示しても、その価格よりも高い「正しくない価格」を提示した業者に任せる人が多い。「高く売れますよ」と言う不動産に任せてしまうわけです。確かに数百万円の違いを見せられると高い価格を提示している業者に任そうかと思うのもうなずけます。一括査定サイトを使って査定を依頼する業者は、名前は知っていても担当者を知らない不動産業者。安い提示の会社が正しいと言えるわけではありません。高い価格の業者も安い価格の業者も、どちらもよくわからないなら高い価格の会社に任せよう、顧客はそのように考え、不動産業者は媒介取得のために高い価格を提示します。「正直者が馬鹿を見る」の「高い金額を出したもん勝ち」の方でバランスが取れてしまっています。

このバランスを崩すのがエージェント制度だと考えます。
物件から入るのではなく人から入る。お客様は信頼おけるエージェントに任せ、エージェントはお客様に誠実に寄り添う。その関係性が大切。エージェントはお客様にとっての「正直不動産」に終わらず、その先の「誠実不動産」を目指すべき。
「誠実不動産」になるためには祠を壊さなくても、風にあたらなくてもいい。心構えひとつです。ブラウン管の向こう(表現が古い!)は山Pが主人公、こっちの世界ではエージェントであるあなたが主人公、といこうではないでしょうか。

最後までお読みいただきまして、ありがとうございます。

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