NHKで放映されている「正直不動産」。
不動産業界に身を置く者としては知らない人はいないでしょう(原作を読んでいるか?ドラマを見ているか?はまた別の話ですが)。主人公が山Pこと山下智久であることもあり、業界関係者以外にも大きな話題となっています。
「嘘も厭わないセールストークの営業マンが、あることをきっかけに嘘がつけなくなり正直すぎる営業マンになる」この話。執筆段階(5月9日)では5話まで放映されており、内容は各話ごとにバラエティーに富んでいます。それぞれにテーマとされている不動産のテーマは以下の通り。
・第一話はアパート経営。アパート経営や「悪徳大家」の話。敷金トラブルも取り上げられています。
・第二話は賃貸契約。預かり金や申込みに関することが話題。
・第三話は夫婦関係と不動産契約。夫婦で住宅ローンを組むデメリットの話題。
・第四話は事故物件。事故物件に関するトラブルではなく、事故物件を探すという変わった展開。
・第五話は欠陥住宅。不具合箇所を隠して販売しようとしていたという設定。
それぞれご覧になった方はわかると思いますが、プロからすれば「ツッコミどころ満載」です。
第一話の敷金礼金稼ぎの悪徳大家。「絶対いない」とは言い切れませんが、流石にいたとしても少数でしょう。
また賃料設定を安くして「回転を上げた」としても原状回復工事やクリーニング、空室期間を考えると普通に住んでもらっている方が得をします。
また第五話のリビングをバールで剥がすシーン。と、その前に契約書にサインをさせようとしていたミネルヴァ不動産。重要事項説明をしていません。
とまあ、粗探しをしだすとキリがありません(重説をしてないのは「粗」のレベルを超えているようにも思えますが……)が、このようなことは他のドラマでも同じ。刑事ドラマや医療ドラマも、現職の警察官や病院関係者が見たら「正直不動産」以上にツッコミどころ満載でしょう。ドラマの法廷シーンを「あんなのはありえない」と弁護士が話すのは何度も聞いたことがあります。
しかしポイントはそこではありません。
このブームをみて私が言いたいのは、これは不動産業界にとってチャンスだということ。
ツッコミどころがあるところも踏まえた上で、不動産業界がドラマの題材として取り上げられるのは業界としてとてもプラスです。テレビ離れが激しいとはいえ、テレビの力は大きい。
しかも放映しているのはNHK。さらには、そのNHKにおいて、何かのネットニュース曰く、朝ドラと大河を除いてNHKドラマでは最高視聴率らしい。老若男女、全国津々浦々の何十万、何百万という人がこの番組を見て、不動産業界に興味を持ち、いいこと悪いこと含め不動産業界のことを話題にします。山Pの人気を割り引いたとしても世間の不動産に対する興味が伝わってきます。
「ツッコミどころ満載」ということはそれだけ「不動産の蘊蓄を語る」ことができるということ。
言い方を間違えると「何、マウントとってきてるんだ?」とウザがられるかもしれませんが、そこは伝え方次第。
このチャンスを活かし「不動産に詳しい人」としてのポジションを獲得してほしい。
ところで「正直不動産」についてはもう一つ伝えておきたいことがあります。