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〔コラム〕~長引くコロナ禍と住生活のトレンド【後編】

コロナ禍で住宅に対する志向が変わった人は多くいらっしゃいます

関東は郊外居住が注目を浴びましたが、関西では地理的な条件が違うため目立った動きはありません。そんな話を前編では紹介しました。
では今後どのようにトレンドは変化していくのか?何を意識していけば良いのか?

後編ではそんなことを考えてみたいと思います。

「都市部では感染リスクが高くなる」
これは確かなことだと言えます。新型コロナウイルスへの感染者数やその死亡者数そして人口比をみても大阪や東京が高い数値となっています。東北地方・中国地方等の都市圏から離れたエリアが広いところでは感染者数は少ない。
そこで都心部の狭くて密な環境よりも地支部近郊の自然環境の良い場所へ、という流れがという話になるわけですが、このような動きは過去にも起きています。

大正時代の大阪がそうでした。
当時大阪は紡績業を中心に経済が栄え、人口は東京を超え、「東洋のマンチェスター」と呼ばれる日本を代表する工業都市でした。ですが、急激な都市の発展を遂げたため人口増加に都市インフラが追いつかず、公害問題なども相俟って、住環境は悪化しました。
そこで始まったのが私鉄の沿線開発です。阪急神戸線、阪急宝塚線、阪神本線、南海本線等の山や海に近いエリアで住宅地開発が進みました。

経済的に裕福でかつ出勤時間の都合をつけることができる経営者層はこれらの住宅地に移り住みました。
一方、週休6日定時出社が必要だった工場労働者層は大阪市内もしくはその界隈の工場近くに住み続けました。

住環境の悪い市内中心部と住環境に優れる周辺郊外部という図式はその後、昭和50年代くらいまで続き、大阪市内を「住宅地」として捉える人は少なかった。
しかし今では大阪市内中心部は居住地として人気が高い。そして当時沿線開発されたエリアも、概ね「高級住宅地」としての評価を失っていません。

この工業化による住宅地評価劣化の流れ、今のコロナ禍での流れと大変似ています。
コロナ禍で問題となったのは、危険であるとはわかりながら現場を離れることができないエッセンシャルワーカーの方々であり、一方リモートワークが可能なインフラが揃っている大企業勤務者・IT関連企業勤務者は「ワーケーション」や「車で2時間の山中に拠点を移しました」なんてことを実現しました。

大正時代の工業化によるもの、昨今のコロナ禍によるもの、同じ「郊外復権」でも大きく違う条件があります。それは時間軸です。

大阪市内が住宅地としての評価を取り戻すのは、大気の汚染や汚濁した市中の川などの衛生面が改善されたバブル期以降。大正時代から50年以上かかりました。
しかしこのコロナ禍が社会に与える影響は新型コロナウィルスにより消えます。公害のように影響は長く残らず、50年も続くことはありません。続いてもせいぜいあと1~2年でしょう。
人口減であることも踏まえ都心は今後も人気は衰えず、コロナ禍で「再発見」されたエリアも、その評価は継続されるでしょう。

ただ、一点気をつけたいことがありませす。
「リモート〇〇」が不可逆な動きということです。事務所への出社がなくなるといった極端な話ではなく、リモートで済むミーティングや授業が今後全て「リアル」に戻ることはないという意味合いです。
そのために必要な住宅性能は「広さ」「遮音性」。これはファミリー物件については顕著です。都市部では2LDK/60平米/4人暮らしという家庭も多く見られます。そのような家庭で、お父さんがミーティング、息子・娘は授業がリモートを始めれば、互いの声が邪魔になるだけでなく、お母さんが部屋内でテレビの音を出すこともできず洗い物や洗濯も音が邪魔になりやしないかと気をつかう、などとストレスの溜まる生活になります。

土地は、都心人気は衰えず、郊外の良いエリアは再評価されます。
建物は、広さと遮音性が重視されます。今のところ、コロナ禍による不動産市場、とりわけ住宅市場への影響はこのように考えられます。
もちろんこれが正しいとは限らず、不動産市場には事務所・テナント等他のジャンルもあるのでもう少し事情は複雑です。

このようなことを考えお客様に個人の見解として話、お客様の意見とすり合わせ不動産選び(もしくは売却)を進めていく、そんなことができるのがエージェントの醍醐味。
査定をして売るだけでは面白みがありません。

最後までお読みいただきまして、ありがとうございます。

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