2022年問題。生産緑地問題とも呼ばれるもので「
2022年に多くの生産緑地が一斉に指定を解除され、
大量の宅地が市場に供給される」事象を指します。
三大都市圏では約13,
000ヘクタールもの生産緑地があります。
これらの生産緑地は固定資産税の軽減等の税制特例を受けており、
指定を解除されると数倍、数十倍、
場合によっては100倍以上の税負担となります。
さて不動産市場はどうなるのでしょうか?
税負担を減らすには、大きく分けて2通りの対処法があります。
「活用」するか「売却」するかです。
多くの土地所有者は、土地をすぐに手放すことはないと思います。
生産緑地の多くは「先代から守ってきた土地」です。
自分の代で終わらせないために何がしかの活用をするでしょう。
土地活用の筆頭はやはり「アパート建設」でしょう。
生産緑地は土地上に建物が建っておらず、生産緑地が解除されれば宅地並み評価となり税負担が増します。この税負担を減らすのに手っ取り早い、といいますか、わかりやすいのがアパート建設。アパートを建設するだけで税金が減ります。
この「建設するだけでOK!」と言うのが曲者でもあるのですが、税負担は減り賃料収入も増える、なんと言っても土地を手放さずに済む、よしアパートだ!と決心する人は多くいらっしゃいます。
実際に多くのハウスメーカー・アパート建築メーカーは「
2022年問題」
目掛けて地主への営業攻勢をかけアパート用地の確保に走っていま
す。
前編でも述べたように数多くのアパートが供給されることになるの
は明らかです。
税金は減る、収入は増える、土地を手放さずに済む。
サブリースをしてもらえれば収入は確定し、管理を委託すればオーナーとして何もすることはない。なんて素晴らしきかなアパート経営!と考える人がいる一方、アパート経営に懐疑的な人も多くいらっしゃいます。それが一体どのようなものなのか裏も表も知った上でアパート経営を敬遠する人や、建築費の借入をする決断ができない人。
そんな人は駐車場経営等の別の活用方法を考えるか、もしくは売却することになります。
生産緑地解除による税負担の増加は大きい。
また、固定資産税の増加には耐えることができても相続税の支払いが困難という人もいます。これをきっかけに資産整理を進める人が増加し、不動産市場は動きが増します。
市場は動きを増しますが、土地所有者目線で見ると増すのは「持てるものの悩み」です。
生産緑地問題で、活用・売却の上記のようなことで頭を悩ます方がたくさん現れます。
活用するにしてもどの会社に頼むか、売るならばどこに任せようか、売ったお金はどうすればいいのか、相続対策も考えておく必要があります。
土地所有者は考えることが一気に押し寄せます。
しかもそれらはどれも、税金、不動産経営、相続等、
専門知識が必要なことばかり・・・。
ここで不動産エージェントのできることは、土地所有者に寄り添うことです。
生産緑地問題で、土地所有者が困っているのは「何をどうすればいいか」「本当にその選択肢が正しいか」。アパート建設をどの業者に任せるか、売却をどの業者に依頼するかではありません。
もちろん、すでに「2022年問題」に取り組まれていて相談は不要という人もいらっしゃいますが、そのような人でも不安は抱えています。
そんな人の現状を傾聴し、複数の切り口から話ができる存在は信頼を得ることができます。
多くの人は「アパートを建てましょう」「売りましょう」「駐車場にしましょう」と手段の話しかしていません。それに対して土地所有者の目的、「どうなりたいか」「どうしたいか」をしっかりと受け止めることができる存在であれば、自然と相談は増え、仕事に繋がるはずです。