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〔コラム〕〜オフィスの今後~働き方でワークスペースはどう変わる?【前編】

9月1日、デジタル庁が発足しました。
職員はおよそ600人、その内200人ほどが民間出身。「ようやく」とか「いまさら」とか、何かと話題になっています。
事務所があるのは東京都千代田区、東京ガーデンテラス紀尾井町の2フロア。
このビル、2011年まで営業していた通称「赤プリ」、正式名称「グランドプリンスホテル赤坂」跡地に建設された複合施設で、ホテル、オフィス等の複数用途で利用されています。オフィスエリアで、一番面積を占めていたのはヤフージャパン。全部で20フロア借りていました。凄まじい面積です。
ところがこのコロナ禍でオフィスを縮小、合計7フロア分を解約しました。そのうちの2フロアを借りたのがデジタル庁というわけです。

ところでオフィスを退去した場合、一般的には「原状復帰」の義務があります。
原状復帰とは「入居前の元の状態に戻す」ことを言います。広いオフィスであれば数千万円かかることもあります。ではヤフーは7フロアも解約したのでさぞや費用がかかるのではないかと思いきや、どうやらそうでもない様子です。

ニュースやネットの書き込みを見ていると、デジタル庁は「居抜き」で移転したようです。
居抜きとは前賃借人が残した設備や内装等をそのまま利用することを言います。
退去する側からすると原状復帰費用が不要、もしくは大幅に削減されるので大変経済的です。ネットで話題になっていたのを見ただけなので筆者は真偽の程を知らないですが、もしデジタル庁が居抜きで借りたのならばヤフーはかなりラッキーをしたと言えます。

ただ、それを持ってして「一私企業の経費を税金で肩代わりした」というのは疑問です。
居抜きでの入居でラッキーなのはヤフーだけではなく、デジタル庁も然り。本来なら借主サイドでやるべき内装工事が不要になるわけですから、こちらも費用が浮きます。
「原状復帰」に比べ「居抜き」は前借主・新借主双方にとってプラス。今あるものを使うという点では環境にも優しい。
オフィスを例に話をしていますが、これは商業店舗でも同じ話。ただオフィスに比べ店舗は借主の業種等によってレイアウトや仕様が大きく異なるため、オフィスよりも居抜きで利用できる確率は低くなります。雑貨店の居抜きでラーメン屋は営めない。

不動産は住宅産業のイメージが大きい。

多くの人がイメージする「不動産」は新築一戸建て、新築マンション、中古マンション、中古一戸建てではないでしょうか。
しかし市場規模、特に都心部においてはオフィスの割合は高い。
J-REITの保有不動産の用途別比率ではオフィスが約4割で、2番目の商業施設(16.5%)の倍以上のシェアを占めています。「割合が高い」どころかトップシェアです。郊外エリア・地方都市ではこのようなシェアにはなりませんが、住宅街ではない市街地においては一定のマーケットボリュームがあるには違いありません。
住宅しか取り扱わないとしても「不動産エージェントの嗜み」としてオフィスマーケットの動向は知っておいた方が良いでしょう

業界人以外にはマイナーですがマーケットボリュームではメジャー扱いのオフィス事情。
今、コロナ禍で変化しつつありますが、今後もっと大きく変わるのではないでしょうか。
それは価格や取引件数といった過去の延長線上の話ではなく、オフィスの定義自体に及ぶように思えます。さてどのような変化が起きるのでしょうか?

続きは後編でお話させていただきます。

最後までお読みいただきまして、ありがとうございます。

*本コラムは、RE/MAX JAPAN のメルマガで配信した内容を基に掲載しております。
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