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〔コラム〕〜住まいの安全と地盤について【後編】

西成の住宅崩落事故、熱海の土石流事故。梅雨時に起きた二つの事故について書いた前編を受けて、後編では、安心・安全な暮らしの基盤となる住宅、さらにそれを土地と建物に分解し、もっとも安心・安全に関わるインフラといえる土地の安全性についてどのように考えるのが良いかに触れていきたいと思います。

建物の安全性が、プロの手によるインスペクション等が必要で専門知識のない人にとって分かりにくいのに対して、土地の安全性については専門的知識がなくてもある程度は確認することができます。少なくとも、将来において事故や災害が起きる可能性が高そうな場所を見抜くことができます。

まず初めに確認したいのはハザードマップです。
ある程度のある人にとっては「何を当たり前のことを!」と言われそうですが、見たことがないという方も多くいらっしゃいます。
2020年8月からは重要事項説明書への記載が義務付けられたので購入する時には必ず目にすることになりましたが、それでも全ての人がしっかりと見ているかというとそうでもないでしょう。

ハザードマップには色々な種類があります。
国土地理院のサイトでの分類を参考にすれば洪水・内水・ため池・高潮・津波・土砂災害・火山、と7種類のハザードマップがあります。この内インターネットで公開しているものは、大阪市が洪水・内水・高潮・津波、神戸市は洪水・内水・津波・土砂災害の4種類、京都市は洪水・内水・土砂災害の3種類となっています。少しずつ公開内容が異なっており地域性が見えます。

大阪市には洪水ハザードマップがあると書きましたが、「洪水ハザードマップ」というものが一枚あり、それを見れば「どこが洪水になるのか」が一目瞭然にわかるわけではありません。
例えば大阪市中央区。“洪水マップ”も川毎に「淀川が氾濫した場合」「大和川が氾濫した場合」「寝屋川流域が氾濫した場合」と3種類用意されています。なんとも丁寧な対応です。
行政により充実度の差異はありますが、このような資料が無料で提供されているのですから見ない手はありません。またこれを見るだけである程度「危険な場所」は忌避できます。

ただ、ハザードマップは「災害が起きた時に被害を被るかどうか」についてのリスク開示であって地盤そのものについての情報ではありません。
これについてはハザードマップ同様、ネットを活用したい。やはり国土地理院のサイトです。
過去の土地利用や航空写真等が公開されています。
これを見れば、その土地が過去に池や河川であったかどうかなどがわかります。プロであれば周辺の河川や水路、暗渠、道路形状等を見ればある程度わかりますが、そんなことをせずともネットを見れば子供でもわかります。これを確認せずに後で文句を言うのはもはや購入者の怠慢と言われても仕方がありません。

とはいえ、そもそもそのような情報が開示されていることを知らない方も多くいらっしゃいます。
不動産エージェントとしてはそのような「知識ギャップ」を埋めることが顧客への価値提供と言えます。

ところで地図を見ればわかる地盤に関わる情報として忘れてはいけない大切な情報があります。活断層です。
若いエージェントには覚えがないでしょうが、1995年の阪神淡路大震災の後、関西では多くの人が不動産購入時に「活断層チェック」をしました。当時インターネットでの情報開示は今ほど進んでおらず、紙の「活断層マップ」をチェックしていました。それが今は簡単にWEBで見ることができます。

これはすべてのことに言えることですが、エージェントはハザードマップ や活断層図を頭に入れる必要はありません。必要な時にWEB等の情報ソースから取り出せば良いのです。取り出し方を知っていれば良いのです。オフィスオーナーであればエージェントに取り出し方を伝えれば良いのです。

「魚を与えるのではなく釣りの仕方を教える」、といわれる格言に例えると、エージェントはお客様に「魚を与える」、オフィスオーナーはエージェントに「釣りの仕方を教える」ことが望ましいといえます。

(参考サイト)
国土地理院「ハザードマップポータルサイト」
https://disaportal.gsi.go.jp/index.html
大阪市「水害ハザードマップ(中央区)」
https://www.city.osaka.lg.jp/kikikanrishitsu/page/0000300824.html
国土地理院「活断層図(都市圏活断層図)について」
https://www.gsi.go.jp/bousaichiri/active_fault.html

最後までお読みいただきまして、ありがとうございます。

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